2018年 08月 01日
《 暦八月葉月 》
『八月の石にすがりて』 伊東静雄
八月の石にすがりて
さち多き蝶ぞ、いま、息たゆる。
わが運命(さだめ)を知りしのち、
たれかよくこの烈しき
夏の陽光のなかに生きむ。
運命? さなり、
あゝわれら自ら孤寂(こせき)なる発光体なり!
白き外部世界なり。
見よや、太陽はかしこに
わづかにおのれがためにこそ
深く、美しき木蔭をつくれ。
われも亦、
雪原に倒れふし、飢ゑにかげりて
青みし狼の目を、
しばし夢みむ。
《 夏には、感傷的になっても、
弱り果てた気持がおこらぬのは、いいことです。
物をみつめる気持になれるのも助かります』
弱り果てた気持がおこらぬのは、いいことです。
物をみつめる気持になれるのも助かります』
伊藤静雄
by tanasita08a
| 2018-08-01 07:17
| カレンダー